テイスティングレポート『和の月』
現社長は、それまでは専業主婦ですから酒造りには携わっていなかったのですが、酒蔵の当主たるご主人が食道ガンに冒されたことから、酒造りの灯明を消さんと志を継いで、蔵を守り、新たな挑戦を始めたわけです。ご主人の闘病と共に並大抵な苦労ではなかったことは著書からもうかがい知れます。(『さいごの約束・・・夫に捧げた有機の酒「和の月」』、文藝春秋)
そしてドラマにもなったその酒が「和の月」なんです。病気療養中のご主人のために有機野菜を買う奥様(現社長)が「なぜうちのお酒は有機じゃないんだろう、有機のおいしくて体にいいお酒を」と思い立って、大変な苦労の末に生まれた酒です。
この「和の月(特別純米)」は、たぶん県内でも大変に入手困難のお酒のようですが、茨城の方のご厚意により分けて頂き、味わうことが出来ました。「有機」という潜在意識を払拭して飲んだとしても、本当に清々しいお酒でした。優しい艶やかさが魅了するパステルカラー調な香りと米の甘味、そして後には凛としたというか潔いキレで、その酔いは「楚々としたお母さんにふと甘えることができたときの耽美な充足感」に似ているのではとさえ思います。(うちのオカンは違ったけど・・) 五感で無為になって堪能した後に、「有機なんだ」とあらためて気づかせてもらえば、「2度おいしい」ということだし、「今日一日頑張った自分の体と心をメンテナンスしてあげている」と実感することでしょう。
ちなみに、今月出版されて当店も本の中で「日本酒がおいしく飲める店」で掲載されている「日本酒入門・蔵元を訪れ美食を楽しむ」(ダイヤモンド社)でも、この「月の井酒造店」は紹介されていますので、是非書店でお買い求め下さい。
「月の井」といい「来福」といい「郷乃誉(花薫光)」といい、茨城には見過ごせない銘酒があります。
自分へのご褒美になるお酒、ご馳走様でした。今度手に入ったら、「和の月」の杯を片手にもう一度ドラマをみたいなぁ。http://www.bunshun.co.jp/jicho/nanotsuki/nanotsuki.htm


コメント